ガラスバッジ(7)

・4月12日~16日(土)、これまでの打合せを踏まえ、原子力安全委員、緊急事態応急対策

   調査委員等が 数回程度議論を行い、その結果を 文部科学省へ累次で伝達した
   その後 文部科学省から事務局に対して修正資料
 
 
  4月13日に 安全委がした記者会見の内容(資料⑧)
 
    Q) 空間放射線量率が落ち着いてきているが、環境半減期の具体的な数字はあるか。
    代谷委員今の線量が 実質 30年で半減するということでなく、もっと早く減る。
     ただし、環境条件は 土地により違うため、一慨に 環境半減期を そのまま適用していい
     というわけでもない。今後も モニタリングを続けることが重要である。
 
    Q) 環境半減期等から、今後、安全側にシフトするとの説明があったが、20mSv/年を
     採用した場合、365日で割って 時間当たりの線量を出すとの考えでよいか。
    代谷委員) 現在の線量が継続するとすれば、考え方としては そのとおり。
            今の所、外部線量については、現在の線量が ずっと続くという考えで評価されている。
      実際は、環境半減期があるし、ウェザリング の効果もある。 なお、外部線量だけでなく
      内部被曝も考えなくてはならない。
 
    Q) 子供の放射線感受性は 2~3倍との考えもあるが、子供に適切な線量は、 20mSv
        の1/3と考えればいいか。
     代谷委員)  学校の再開に当っては、実質的に1/2の10m㏜ぐらいを目指すのが
      いいのではないかと考えている。 ただし、今の話は 1年間その場所にいた場合の
      話なので、モニタリングをしながら見直し等を行うということが重要。 1ヶ月当りの
      線量を計算して、モニタリング結果と比較し、方針を変更することも含めて判断する
      必要がある。
 
    Q) 一部の学校は すでに再開しており、グラウンドで活動することもあると思うが、
      10mSv に達する前に方針を変えれば、健康には害が起きないとの理解でよいか。
     代谷委員 健康被害との観点から言えば、20m㏜ は健康被害が起きるレベルでは
       ない。100m㏜でも 子供を含め健康被害が起きるレベルではない。しかしながら
       安全側がいいだろうということで 20m㏜としている。放射線業務従事者についても
       緊急時で 250mSvであるが、それでも健康被害が ほとんどないレベル。世界的には
       500mSvが標準であるが、日本は その半分で 管理しているところ。
 
    Q) 子供は 10m㏜か。
     代谷委員) 子供は半分ぐらいを目指すべき、大人の半分程度とする方がよりよい
       との考えがある。
 
 
 ――― 禅問答のようでもあり、酔っぱらいの呂律のようでもあります。
   いづれにしても、言語不明瞭。
 
 
  先に述べたように、安全委は 内部被曝を盛んに言及しているが、具体的な
 評価について、ほとんど述べようとはしない。 初期被曝による 呼吸や経口
 による被曝線量が どれほどなので、 今後 どれ位の厳しさで 線量管理を
 せねばならないか? といったことを・・・。
 
    NHKは、安全委の「ヨウ素剤は服用する必要はない。 使用する場合は、危険なので、
    医師の指示に従うよう」との見解を流し、混乱期には ほとんど不可能な ハードル を設けて、
    ヨウ素剤の服用を抑制していた。また、放射性ヨウ素対策について、飲料水の使用方法など
    でも 適切な アナウンス が欠落していたのだった。 いわば、人々を 徒に混乱させ 被曝
    させるような放送をしてきたのである。
      安全委員会: 安定ヨウ素剤内服について (2011/03/14)
 
  最初期の被曝線量が不明であるのに、年20m㏜とか 10m㏜とか言っても、
 机上の空論であろう。彼らは 初年度ではなく、次年度のことを言っているかの
 ごとくである。
 また、ICRP内部被曝の実効線量概念は、正しく 事態を評価していない
 (過小評価の)可能性も指摘されている。
 
 
  4番目の Q&Aに至っては、ほとんど意味不明である。 果して、この回答の
 理解できる人がいるのだろうか?
 いわく。 20m㏜ は健康被害が起きるレベルではない。100m㏜でも 子供を含め
        健康被害が起きるレベルではない。放射線業務従事者についても 緊急時で
                  250m㏜であるが、それでも健康被害が ほとんどないレベル。
  先ず、子供のリスクは 大人の2~3倍と言われているが、なぜ、3倍でなく 
 2倍に値切ったのかの説明がない。 もし 3倍とすれば、大人の250m㏜は
 子供では 83m㏜(<100m㏜)となり、放射線業務従事者を挙げる意味がない。
 また、被曝によるメリットがない子供についての話に、それを仕事とする放射線
 業務従事者のことを出す見識を疑わざるを得ない。
 
  さらに、20m㏜でも、100m㏜でも 子供に健康被害は出ないと 断言する。
 しかし、 しかしながら 安全側がいいだろうということで 20m㏜としている と言う。
 100m㏜で健康被害がでないと断言したのだから、すでに 100m㏜で 安全
 なのでしょう。なのに、なぜ また、安全側がいいだろうと・・・ という言葉が出て
 きたのでしょうか? 先には、10m㏜くらいを目指すのがいいとも言うし・・・。
 ――― 私には 代谷委員の言が まったく理解不能です。「 この人、一体
 何を言っているの? 」と・・・。 内閣府の立派な人の言であることを思うと、
 私の方が 頭が狂ってきそうです。
 
   ※ 代谷氏は、ICRP放射線防護の前提である 「しきい値なし仮説」 に言及することなく、
    「安全側」と言ったために、このような言語不明朗なことになったのでしょう。
    しきい値なし仮説は、「どんなに線量が低くとも、線量に比例して リスクがある
    というものですから、もし これに言及すれば、最初の20m㏜でも、100m㏜でも
         健康被害は出ない という言葉が破綻してしまうので、この仮説は 黙して語れない
    わけです。
     しかし、この仮説を前提にした防護体系に依拠している以上、100m㏜の被曝を
    させるわけにはいかない。できるだけ被曝線量を抑えるべく、20m㏜としたいわけで、
    それで、「安全側」という 彼らの常套句(業界用語)が、ここに飛び出てきたのでしょう。
     業界用語で 素人を煙に巻くのは、専門家には 厳に慎んでもらいたいものです
 
 
 
    安全委は、奥歯に物がはさったような言い方をしていますが、この会見は、
 前日までの文科省との折衝を反故にして、学校再開の目安を 10m㏜/年
 と考えているように見えます。 
 
  そのため、翌14日に 再び記者会見を開いて、
 
   「 学校を再開するに際しての基準として、原子力安全委員会福島県内の学校再開に
  関する基準を 10m㏜/年と示したとの一部報道があったが、これについて意見を表明したい。
 
  とし、
 
  現在、文科省において検討中であり文科省から原子力安全委員会に対し助言要請はない。
  また原子力安全委員会として、学校再開の目安として明確に 10m㏜を決定したという事実
  はないし、そういうことで文科省に伝達したものではない
   10m㏜/年と申しあげたのは、文科省において対策が検討されているが、仮に20m㏜とした
  場合にあっても児童実際被曝線量については、地表沈着したヨウ素の減衰、ウェザリング
  を考慮すれば、内部被曝を考慮しても 10m㏜以下になるだろうということで申し上げたもの。
  繰り返しになるが、基準そのものは 文科省で検討中であり、私として いくつが適当である
  と言ったつもりはない
  原子力安全委員会として、10m㏜という基準値を決定したという事実はないし、文科省
  伝達したという事実もない再度、こうした事実を申しあげますので、報道各社に ご理解
  いただきたい。当方も できるだけ正確で理解しやすい説明に努めて参りたいと思っている
  ので、報道各社もできるだけ正確な報道をお願いしたい。
 
  と、記者に責任を転嫁したような 釈明会見をせねばなりませんでした。
 
      ※茶色の文は、前述の如く、文科省からの幾度も助言要請があり、ウソです。
      ※ 内部被曝を考慮しても 10m㏜以下になるだろう という見込みであれば、
       なぜ、線量を その2倍にして、学校再開基準を20m㏜ としなくてはならないのか?
       という理由に言及しなくては、やはり不明朗発言のソシリは免れないだろう。
      
 
 

    資料⑨は、「日本原子力研究開発機構 安全研究センター」による
 小中学校等の子供たちの 今後 1年間の予想 積算実効線量の推計で、
                         4月5,6日からの1年間での実効線量
    福島市立第一小 6.20、 福島市立大久保小 7.03、 二本松市立岳下小 10.7
    伊達市立保原小 7.63、 川俣町立山木屋小 27.0、 郡山市立金透小   5.20
    郡山市立熱海小 2.42、 須賀川市立第二小 4.43、 田村市立船引小   1.56
    平田村立蓬田小  1.48、  白河市立白河第一小 0.71、
    会津若松市立鶴城小   0.88、   喜多方市立第一小   0.54、  南会津町立田島小  ND
    南相馬市立原町第一小 3.98、   相馬市立中村第一小 2.38
    浪江町立津島小 17.5、 いわき市立平第一小 1.14、 いわき市立勿来第一小  0.58
         いわき市立四倉小 1.63   
                                      単位:m㏜
 という具合になっています。
 
  これを見ると、20m㏜/年を超えるのは、川俣町立山木屋小 だけのようですが、
 4月8日時点で、福島県内1581施設中、地上1mで 3.8μ㏜/hを超えるのは 43
 施設、 1.9μ㏜/hを超えるのは 371施設あって、
   福島市立大久保小 3.8μ㏜/h、二本松市立岳下小 3.7μ㏜/h でした。
 
  しかし、 資料⑦(4月12日文部科学省との打合せ資料) のうち、筆頭に掲げられた
 5.40μ㏜/hを計測した福島市渡利中学校など、4.0μ㏜/hを超えた施設の
 積算線量の評価はしていない。
                  (資料⑦に 山木屋小は欠落。4月5日 6.1μ㏜/h
   まさに、3.8μ㏜/h超での積算線量が、どれほどになるのかということが、
 この時点で問題だったはずです。 もし、15m㏜/年で納まるなら、20m㏜を 
 15m㏜に変えることもあり得たはず。
 
       資料7においても、ただ 上の20校のみ 土壌とダストのモニタリングをして、
       「暫定的考え方」案に、
        20校の土壌分析データから、内部から受ける線量の寄与については
       無視できるほど小さいことが判明している。
        と結論付けている