ガラスバッジ(10)

ここで ちょっと横道に逸れて、

改めて、
 27年前に起きた チェルノブイリ の事故を見ることで、福島第一原発事故の汚染規模
を考えてみることにします。
   
 Ⅰ.Cs137の土壌汚染
   *1キュリー=370億ベクレル
          1~  5Ci/k㎡=  37k~185k㏃/㎡     
       5~15Ci/k㎡=185k~555k㏃/㎡     
 
   福島県の周辺地図-Yahoo!ロコ
                   地図画面右上の「地図 ▽」を開いて「情報を重ねる」欄の
                  「放射線情報[災]」に✔を入れると、詳細な汚染地図になります。  
      文科省航空機モニタリング
      [object HTMLMetaElement]      
 
   Yahoo!ロコ の左側の内から セシウム137を選んで、 
  上の チェルノブイリ のセシウム137汚染地図と比べてみると、
 
   チェルノブイリの  1~ 5 Ci/k㎡ 地帯 は、
  フクシマ では くすんだ青から 濃い青 さらに の地域にあたります。 
  福島県 ほぼ東半分 及び 会津坂下方面から、茨城県北部霞ヶ浦南部、
  千葉県北部、栃木県北部一帯 及び 群馬県北半分、宮城県南部
  北部から岩手県の一部にかけての地域です。
 
   チェルノブイリで  5~15Ci/k㎡ 地帯 は、
  フクシマでは、 から 薄い青の地域に当り、福島県
  浜通りいわき市北部から 南相馬市太平洋岸を除く2/3相馬市西部
  から 宮城県丸森町白石市福島県境地帯、そして 中通り一帯にかけて
  の地域に当ります。
 
 
   ※ チェルノブイリとは異なって、福島第一原発は 太平洋に面して立地している。  
 
       環境省所管の(独)国立環境研究所によると、
       放出された ヨウ素131の13%、セシウム137の 22%が 陸地に沈着し、
             残りは海洋に沈着するか、モデル計算領域外に輸送された      
     としている。   < 大気輸送沈着 シミュレーション
     日本にとって 幸いなことに、放出されたCs137の大半は 海洋に流れていて、
     上の文科省の汚染地図は 放出全量の 約1/5を反映しているのみに過ぎない。
 
       @ もし、日本海側や西日本の原発で この規模の事故が起きていたら 
                 と思うと、背筋が凍る思いです。 
 
    ※ Cs134の放出量 : Cs137の放出量
        ――― チェルノブイリでは 1:2 、フクシマでは 1:1
 
 
  次に、
 上の チェルノブイリの地図の 一番内側の円(30km)内に フォーカスして、
 
  Ⅱ.空間線量率
 
  チェルノブイリ事故(1986年4月26日)から1週間後の5月1日における
 事故原発30km圏内の空間線量は、
    図3 1986年5月1日におけるチェルノブイリ原発周辺30km圏の各居住区の空間線量率(mR/h
 
 
  この30km圏内は、事故後11日間のうちに 
 
     原発職員が住んでいるプリピャチ市(原発から3~6km)住民の避難が始まったのは,
     事故後約36時間後の4月27日午後2時.1300台のバスを使って,住民4万5000人の
    避難が約3時間で完了したと言われている.・・・
     避難が始った頃のプリピャチ市内の空間線量率は,数100mR/h(ミリレントゲン/時).
       プリピャチ市以外の周辺住民の避難が決定されたのは,事故から1週間経った 5月2日.
    まず、原発周辺10km圏の村落の避難が 5月3日から始まり、さらに 周辺30km圏内の
    残りの村落の避難が行なわれ,5月6日には ほぼ終了した. 
        プリピャチ市民を含め,結局 13万5000人が チェルノブイリ原発周辺30km圏から避難した.
                  < 周辺30km圏避難住民の外部被曝量の評価(1)    
 
 のごとく、ほぼ全ての住民が避難を完了したと言われます。
 
  線量の単位が R(レントゲン)だが、分かり易く ㏜ に直すと、
    1R= 8.77 mGy= 8.77 m㏜   100mR/h= 0.877 m㏜/h=877μ㏜/h
                          1mR/h= 0.00877 m㏜/h=8.77μ㏜/h 
 
    上図の黒色地点は、  1~ 18mR/h= 8.77~157.9μ㏜/h
         桃色地点は、 20~ 75mR/h=175.4~657.8μ㏜/h
         赤色地点は、100~380mR/h=877 ~3332.6μ㏜/h
 
     (フクシマとの比較のため)
       3mR/h=26.3μ㏜/h、 5mR/h=43.9μ㏜/h、 10mR/h=87.7μ㏜/h
 
 となる。
 
 
 フクシマの場合は、20~30km圏内は 屋内退避指示だったが、
 
   事故直後は、
    福島市(約60km): 15日 午後640   24.24μ㏜/h
    飯館村39km): 15日午前6時20分 44.7μ㏜/h 
          しかし、ジャーナリストから知らせてもらった数値は 100μ㏜/h以上
       今中哲二氏:28~29日 長泥曲田 30μ㏜/h、逆算して、15日 150μ㏜/h 
      約20Km 地点 : 15日午後9時頃   195~330μ㏜/h
    福島県双葉町上羽鳥(5.6km): 3月12日午後3時 1590μ㏜/h
     富岡町夜の森(7km): 15日午前2時  186μ㏜/h
                                  < 事故直後のモニタリング テータ
 
 
   事故から20日後では、
     浪江町立津島小学校   4月5日   23.0μ㏜/h  
     飯舘村立草野小学校       〃     14.0μ㏜/h
     福島市立御山小学校        〃       4.9μ㏜/h
     川俣町立山木屋中学校     〃        6.6μ㏜/h
        本宮市立和田小学校         〃           4.2μ㏜/h
     福島市立渡利中学校      4月6日      5.4μ㏜/h
     郡山市立薫小学校         4月7日      4.5μ㏜/h
     郡山市立郡山第一中学校 〃      〃
     相馬市立玉野中学校   4月6日    4.1μ㏜/h
               福島県環境放射線モニタリング 小・中学校等実施結果(23.4.8更新)
    
 
 
         チェルノブイリのストロンチウム90による土壌汚染地図  P27
                                 Chernobyl Forum IAEA 2006
          点線の円: 半径30km
          北~西60km圏内が 37k㏃/㎡以上の Sr90汚染地帯であるが、
         Cs137汚染ほど 広汎な広がりではないとしている。 
           例。 ピルキ、 ドブリャディ、 N.シェぺリチ、ジモビシチェ : >111K㏃/㎡  
              テルノビッチ : 74~111 K㏃/㎡
              サビチ、 デニソビッチ : 37~74 K㏃/㎡
              イリンツィ : <37K㏃/㎡
              ・キエフ: 5800㏃/㎡  (1996年 南 110km)
          @ Sr90は、空間線量率には 寄与しない。
 
 
 
  Ⅲ.積算線量
 
   WHOのHPより「チェルノブイリ事故の健康影響」
    Doses received from the Chernobyl accident 
 
          集団(被曝した年)       :人数  → 20年間の平均総量(mSv)
      清算人(1986-1987)(高被曝)            :  240000人  → > 100mSv
      避難者(1986)                      :  116000人  →  > 33mSv
                                               < 周辺30km圏避難住民の外部被曝量の評価(4)
      SCZs(>555 kBq/m2)の住民(1986-2005)    :  270000人  → > 50mSv
      低汚染地区(37 kBq/m2)の住民(1986-2005)  :5000000人  → 10~20mSv
      バックグランド(2.4m㏜/年)                       48m㏜ 
 
                                 
 人口
   ベラルーシ  9 634 000人(2008)、ロシア  143 340 000人(2012)、ウクライナ  45 708 0002008) 
 
   ベラルーシ、ロシア、ウクライナの汚染地域住民が 1986~1995年に受ける推定集団実効線量
 事故後最初の10年間に与えられた集団実効線量は、外部被曝から 24200人・㏜、内部被曝
 から 18400人・㏜、合計で 42600人・Sv。平均実効線量8.2m㏜と推定される。
                42600人・Sv÷5160000=0.00825㏜=8.25m㏜
 最初の10年間で受けた線量が外部被曝の生涯線量の60%、内部被曝の生涯線量の90%
 と仮定すると、平均生涯実効線量12m㏜に相当する。  ATOMICA より 
 
 
 
   では、フクシマの場合の積算実効線量は、どうなのか?
 
  この シリーズ では、外部被曝の実効線量を評価しようとしているわけですが、
 しかし、実際の値が どうであったかという以前に 留意すべきことは、
 
 文科省が、年20m㏜の被曝を、大人だけでなく 子供にも要求し、
 かつ、2年半以上経っても、これを取り下げていないという事実です。
 
  福島県中通りと同じ レベルの,チェルノブイリにおける土壌汚染地域での
 事故から 20年間の積算実効線量は 10~50m㏜ですから、
 文科省が出した 1年間に 20m㏜の実効線量というのが、いかに大きな数値
 かということが分かります。