ガラスバッジ(3)

文科省は、事故後 被曝環境下での学校運営続行を決定した後、

4月27日より 54校・園で、簡易型積算線量計によるモニタリングを実施しました。
 
 
   ⋆ 私は、この文科省の決定に 非常な衝撃を受けました。
 
 このことに関して 2011年4月13日 NHKは、政府のこの決定に先立って、
と、被曝による健康被害は 「大した問題ではない」という姿勢を 暗に示し、
 
 そして、1週間後の4月19日 文科省は、CRPの意を受けて⋆⋆、  
を、福島県教育委員会等に発出しました。
 
 日本政府は、被曝回避のための 広汎な 避難・疎開・移住という選択肢を、
 事故後 早い時期に放棄しました。
 今 シリアでは200万人の避難者が出ていると言いますが、原発事故は 
 この内乱に勝るとも劣らない,政府が引き起した災厄でなかったでしょうか?
 しかし、日本政府は このことを認めたくなかったために、ICRPの勧告を
 「渡りに船」と適用し、沢山の国民 特に子供や若者を被曝環境に縛りつけ、
 今もなお 彼らに 理不尽な被曝を強要しつづけています。政府は、自分たち
 に 安易な方法(=国民の一部を犠牲にする)をとっているのです。   
 
  また、丁度 事故後、教育関係者は 入学や新学期に向けて多忙な時期に
 当っていたが、罹災地は本より、全国の校(園)長・教頭らは、これに対して
 それぞれ どういう対応をとったであろうか? 国の次世代に責任をもつ最前線
 にある人々が、彼らの運命に対して 適切な判断をしたか どうか、ということは 
 厳しく問われなくてはならない。学校組織の論理が、彼らの運命を踏みにじった
 のではないか? と。近代公教育の理想崩壊ではなかったか? と。
 
 
  これは、事故による追加被曝量が
 「1~20m㏜/年を 学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的*な目安
 とするというものであり、 (* 夏季休業終了(おおむね8月下旬)までの期間)
 
 児童生徒等の受ける線量を考慮する上で,16時間の屋内(木造),8時間の
屋外活動の生活パターンを想定すると,20m㏜/年に到達する空間線量率は,屋外
3.8μ㏜/時,屋内(木造)1.52μ㏜/時である。従って,これを下回る学校
では 児童生徒等が平常通りの活動によって受ける線量が20m㏜/年を超える
ことはないと考えられる。さらに,学校での生活は 校舎・園舎内で過ごす割合
が相当を占めるため,学校の校庭・園庭において 3.8μ㏜/時以上を示した場合
においても 校舎・園舎内での活動を中心とする生活を確保することなどにより,
児童生徒等の受ける線量が 20m㏜/年を超えることはないと考えられる。
      ※ (3.8×8+1.52×16)×365=19973μ㏜≒20m㏜
           屋内の空間線量は、屋外の40%となると仮定       
 
と、何が何でも被曝環境下に 子供らを縛り付けるという強固な意思を示したもの
です。
 13の教育施設が、3.8μ㏜/hを越える被曝環境下にあったということです。
                                                           (23.4.8更新)
         
  そして、この文書で、
 
  4月14日の文科省による再調査で 校庭・園庭が 3.8μ㏜/h未満の学校は,
 校舎・校庭等を平常どおり利用して差し支えないとし、3.8μ㏜/h以上は、当面,
 校庭・園庭での活動を1日当り1時間程度にするなど,学校内外での屋外活動を
 なるべく制限するよう指示し、
 児童生徒等の受ける線量が継続的に低く抑えられているかを確認するため,
 今後,国において福島県と連携し,継続的なモニタリングを実施する。
 
  としていたことから、冒頭の4月27日からの簡易型積算線量計によるモニタリングを
 実施したわけです。
                  原子力安全委員会
 
 
    補遺     

          ※ この重大な文書の発出者は、菅首相でも 髙木義明文科大臣でもなく、
       生涯学習政策局長・板東久美子、 初等中等教育局長・山中伸一、
                    科学技術・学術政策局長・合田隆史、 スポーツ・青少年局長・布村幸彦
      という文科省の官僚でした。
      また、発出先が 最初に福島県知事が挙げられず、教育委員会に続いて
      県知事となっていることにも注目すべきだと思います。
      つまり、「この文書は そんなに重大ではないんだよ」と言っているわけです。
 
       ※ この決定に先立って、4月11日 枝野官房長官が記者会見で
       この際 避難の基準としたのが 20m㏜/年でした。
       これ未満であれば、住民は そこに留まれ!という政府の意思を示したのです。 
                    < 指定、腑に落ちない・・・
        避難基準20m㏜/年は、文科省の教育施設利用基準と同じく、外部被曝
       のみ考慮されたものなので、政府は 内部被曝も含めて25+αm㏜/年
      (食物摂取基準:5m㏜/年、α:呼吸等)までの被曝を、国民に強要したのだ
        ということになります。(現在は 21+αm㏜/年。食物摂取基準:1m㏜/年)   
 
        ※ この文書発出後 4月21日産経新聞は、
       と伝えています。 
 
       ※ 4月29日 小佐古敏荘内閣官房参与
       この数値(校庭利用基準の年20m㏜)を、乳児・幼児・小学生にまで求めることは、
       学問上の見地からのみならず・・・私は受け入れることができません。参与という形
       で政府の一員として容認しながら走っていった(基準値引上げを強行した)と取られ
       たら私は学者として終わりです。それ以前に自分の子供にそういう目に遭わせるか
       といったら絶対嫌です 
        として、辞意表明 したのは、記憶に新しい所です。
 
 
       参考
              文科省
 
   ・政府事故調中間報告  ← この文科省文書発出の経緯が語られています
 

   閑話休題
 
 
       児童生徒等を代表する者の受ける積算線量   文科省
                  http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1331433.htm  
 
  (5月12日公表)
   福島県内の学校等(55校・園)に簡易型積算線量計を配布し、児童生徒等の行動を
 代表するような教職員等が線量計を携帯することにより、児童生徒等の受ける放射線
 量が継続的に低く抑えられているかを確認する。 
                                    ※ 幼稚園 一園:休園
○測定期間: 夏季休業終了(おおむね8月下旬)までの期間を対象とする。
○測定内容: 児童生徒等の登校時及び下校時の1日2回、線量計の数値を計測
  することにより、学校等の活動における1時間当たりの積算線量を測定する
 (夏季休業中は、モニタリングの参考とするため、教職員等の出勤時間及び帰宅
  時間における線量計の数値を計測)。

 

 
 
  そして、平成23年4月27日(水)~5月8日(日)の期間の測定結果は、
 
    積算線量:0.03~0.93μSv/h    平均値は 0.22μSv/h
                    本宮市立和田小学校   
学校滞在時間を1日8時間、年間200日と仮定すれば、平均では年間約0.35m㏜
    (約0.05~約1.49 m㏜)となる。
      0.22×8×200=352≒0.35m㏜  0.93×8×200=14881.49m㏜
     
   延べでは、0.22×24×365=1927.21.93m㏜
             0.93×24×365=8146.88.15m㏜
   ○ 学校長等の判断で、13校・園が体育・部活動等の屋外活動を1~2時間程度
     に制限して実施している他、41校・園が全ての屋外活動を行っていない。
 
  と報告しています。